ダイナミックアセスメントLPAD 〜WISCとLPADの比較〜,発達障害や知的障害の不安をお持ちの方も。四谷にある個別指導塾「よむかくはじく」

ダイナミックアセスメントLPAD
〜WISCとLPADの比較〜

LPADとは?

LPAD(Learning Propensity Assessment Devise 学習向性評価法) は従来の静的な知能観と対極にある視点をもって, イスラエルの認知心理学者故ルーヴェン・フォイヤーシュタイン教授によって開発されました.

LPADについての本が初めてアメリカで出版されたのは1979年ですが, その開発は,フォイヤーシュタイン教授がジューネーブ大学の有名なジャン・ピアジェ教授, アンドレ・レイ教授の下で学んだ1950年代にさかのぼります. 特にアンドレ・レイ教授は個人的にもLPADモデルの開発に携わりました.

LPADが出版された翌年1980年には,LPADと平行してフォイヤーシュタイン教授が開発し, 教育・臨床の場で実践してきた教育メソッドFIEについての本が出版されました. これら2冊の本の出版を契機に西欧の教育現場で フォイヤーシュタインの方法が大きく受け入れられるようになり,現在では全世界で実践されています.

LPADの主目的は子供の内側に隠れている将来的な変化の可能性を探ることです. 子供がこれから,学びや勉強によってどのように伸びていくか,その隠された可能性を探求します. もしかしたら,今はお子さんはできないことばかりかもしれません. しかしそれは現在の状態に過ぎません.子供の可能性はその背後に隠されています. LPADが子供をどのように教育していけばよいかの指針を与えてくれます. そして,子供とその周囲の大人が指針に沿って努力をすることで, その可能性は実現され現実のものとなるのです.

さて,知能検査と言えば診断的検査のWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)が有名ですが, LPADとWISCとを比較してみましょう.

WISCは量(数値)的情報を与えてくれる.

WISCの検査で得られたデータは標準正規分布に従うように変換され(標準化), 被検者と同年代の集団と比べて,被検者の水準が平均から「どのくらい」離れているかを教えてくれます.

しかし,WISCは検査結果の数値の正しさを優先するために, 子供が課題の問題に答える時に,解答プロセス(どのように考えて結論に至ったか)を考慮に入れません. それは数値化に適さないからです. 検査者と子供とのやりとりは言葉遣いまで厳密にマニュアル化されており, 検査者が検査結果に影響を及ぼさないように配慮されています. WISCは,ある一時点での子供の状態を測定する,きわめて静的な検査といえるでしょう.

それに対して,LPADは質的情報を提供します.

LPADは解答プロセスを重視

子供が問題に正答してもしなくても, 検査者は「なぜ」そのように考えたかを子供に問い,子供とディスカッションします. また,子供の解答プロセスを観察します.子供の視線の動き,独り言,ちょっとした仕草, これらを観察し,子供がどのように考えて解答をしているかを観察します.

子供の解答プロセスを解明することは時間がかかるので, WISCよりも時間をかけて検査します.WISCが2時間程度で完了するのに対し, LPADは4日間程度(10~12時間)かけます. 連続した4日間を確保するのはスケジュール的に難しいので1,2週間おきに4回実施するのが現実的でしょう.

解答プロセスは数値化に適さないため,LPADでは数値化を重要視しません.

「静」のWISC,「動」のLPAD

LPADがユニークなところは,検査の中で検査者が被検者に必要に応じて介入し, その内容や度合も柔軟に変化させ問題の解き方を教えることです. 検査内で解答プロセスを子供とディスカッションすると書きましたが, その過程で検査者は子供に解答プロセスを教えることになります. そして,この教示は,フォイヤーシュタインが媒介と呼ぶ手法で行われるのです.

教える前と後で成績がどのように上がるか.ビフォア・アフターを比較します.
教えるときに子供がどのような反応をするかを観察します.
「どのように」「どの程度詳しく」教えたことで子供が問題を解けるようになったのか, 介入の強さと成果との関係が分析されます

教えられることで子供がこれからどのように伸びていくのかという視点で結果を解釈するので, LPADは隠された子供の潜在的な学習能力を探ることができるのです.

WISCは統計学を使って子供の現在の力を測定する静的な検査ですが, LPADは子供と検査者との相互反応を分析する動的な検査です.

検査バッテリーがWISCよりも柔軟

LPADは非常に柔軟な検査で,個々の目的に応じて 14の主要検査の中から目的に応じて必要なものを選び実施します. 必要に応じて主要検査以外の検査を加えることもあり, WISCより細やかに目的に応じた検査をすることができます. 私外山はLPADにブレインジムの基本的な動きのテストを加えることにしています. このことで,子供がどのように身体を動かしているかの知見も得られます.

また,対象者に応じてLPADを実施することができます. 定型発達の大人に対して実施するときは難しめのテスト, 知的障害を持ったお子さんにはより基本的なレベルのテスト,というようにです.

まとめ

このようにWISCとLPADはそれぞれの得意分野があります. この2つを合わせることで,子供の学習能力についてのより豊かな情報を得ることができます. 次のようにWISCとLPADの特徴を表にまとめてみました.

WISCとLPADの比較
WISC LPAD
得られる情報 量(数値)的情報 質的情報
検査手法 統計的(静的) 検査者と被検者の相互反応を分析(動的)
検査目的 子供の現在の状態・能力を測定 子供の将来的な変化の潜在的可能性を探る
重視する点 解答結果(解答の正誤) 解答プロセス
解答プロセス あえて考慮しない 観察,子供とディスカッション
統計学的標準化 されている されていない
所要時間 2時間程度 4日間程度(10〜12時間程度)
検査の数 基本検査10+補助検査5 14+アルファの検査の中から柔軟に選択
検査対象 5歳から16歳 5歳程度から大人まで

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