“LDの定義とは?”“LDにはどんなものが含まれるの?”
今後教育の分野で活動していくならば、共通の土台として知っておかねばならないと思います。
知能の発達・教育のフィールドにおいて、LDの定義は大きく米国版と英国版の2つの定義が並立している状態のようです。 日本におけるLDの定義は米国版によっていますが、両方ともおさえておくべきかと思います。
現在オンライン学習をしております、Dyslexia and Foreign Language Teaching の講義で分かりやすくLDの定義がされていました。ご紹介いたします。
以下の記述はメインの講師を務めるJudit Kormos教授による講義資料を参考にしたものです。ラフな状態のままである事をご了承願います。
まずはこれまで世界標準の定義はどうなっていたかというと…次のようになります。
: LDは次のサブタイプからなる。
①ディスレクシア(または、読字障害)
②ディスカリキュリア(または、算数障害)
③ディスプラクシア(または、発達性協調運動障害)
そして、現在の定義がこちらです。英国版からみていきましょう。The Department for Education Working Group in the UK (2005) による定義です。
: 特定の活動(*)において、他の分野での能力よりも著しく低いパフォーマンスを示すという特異性。 *例えば、文字のつづり、読み、書くスキル、数を扱うスキル
・ワーキングメモリー
・組織化するスキル
・受動的/能動的な言語
・発話のスキル
・ききとりのスキル
・注意集中の保持
・協調運動
ずいぶん、これまでのLDの定義よりも実践的、具体的なものになっています。
「Disabilities, Disorder 障害」ではなく、「Differences 特異性」(平たく言うと「ちがい」)なのだ、との表現も大きい変化です。
ディスレクシア、ディスプラクシア、ディスカリキュリア、さらに、ADHD(注意欠陥多動性障害)をも包含させた定義になりました。
私見ですが、英国版のSpLDの定義からは、個々の現場の事例やあいまいなケースからなんとかして実践的な定義を抽出させようという研究者らの熱意、努力が伝わってきます。