WISC-Ⅳとは 「ウェクスラー児童用知能検査第4版」の略称です。5才0ヶ月から16才11ヶ月までの方に適用できる、全般的な認知機能を把握し、その結果を子どもの教育や治療のために活用する事を目的とした心理教育的検査です。
この検査は10種の基本検査と5種補助検査の下位検査からなっており、下位検査の結果は次の4種の領域「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」に分けられ、これらの領域ごとに下位検査の値を合わせた合成得点が算出されます。また、領域の区別なしに10種の下位検査の値を合わせた合成得点「全検査IQ」も算出されます。
WISC-Ⅳの検査で得られたデータは標準正規分布に従うように変換され(標準化)、 子どもの水準が同年代の集団と比べて、平均から「どのくらい」離れているかを教えてくれます。
しかし、WISCは検査結果の数値の正しさを優先するために、 子どもの解答だけを見ます。子供が課題の問題に答える時に、解答プロセス(どのように考えて結論に至ったか)を考慮に入れません。 それは数値化に適さないからです。検査者と子供とのやりとりは言葉遣いまで厳密にマニュアル化されており、 検査者が検査結果に影響を及ぼさないように配慮されています。WISCは、ある一時点での子供の状態を測定する、きわめて静的な検査といえるでしょう。
WISC-Ⅳの4種の領域ごとの値から、知的能力の個人内差(得意、不得意)の測定をおこなう事ができます。例えば能力差のアンバランスが目立っている場合、子どもの実態を把握するのに適しています。さらに,私たちは各下位検査の数値を見ることで,より詳しくお子さんの得意・不得意を分析しています.
WISCの数値は標準化されているので,LPADでは曖昧にしかわからない客観的な数値がWISCによってわかります.と同時に,前述の通り子供の解答プロセスを分析するためにはあまり効果を発揮しません.また,子供と教師との間の微妙なやりとりにこそ,教育の妙が宿っているものですが,もちろんWISCの結果にはそのような情報ははいってこないわけです.そのような質的な情報はLPADが得意とするところです.LPADとWISCの二つが車の両輪のようにお互いを補い合います.
WISCは,その価値と妥当性を守るため,有資格者によって適正に取り扱われることが要求されています.下位検査でどのような内容のテストが行われるかは専門家以外には公開されません.そして,結果の解釈にも専門知識が要求されます.親御さんなどが結果を誤って解釈することを防ぐため,下位検査の数値は専門家ではない人には公開されません.最後に,言うまでもありませんが,WISCの結果は個人のプライバシーとして厳重に守られるべき情報です.
私たちはWISCを効果的に活用しつつ,上記の規範を忠実に守っています.